東大を出ても、ただのオバサン
最高学府と言われる東大であっても、卒業した後の人生模様は様々である。
そのままエリート街道まっしぐらの人もいるし、庶民的な生活を送る人もいるし、研究の道に進んで苦労している人もいるし、なかには世捨て人のような生き方をしている人もいる。
どんな働き方をしているか、結婚しているか、子どもがいるか、てんでバラバラである。第三者として見ると面白くもあるし、当事者として見ると周りが羨ましくなったりもする。
外資系企業に就職した人たち
私が就職をした頃は、今ほど外資系企業は一般的ではなかった。とはいえ、世間知らずな私でも有名どころの名前くらいは知っていた(P&G、モルガンスタンレー、マッキンゼー、ボストンコンサルティング、ベインアンドカンパニー等)。
何人かの東大女子は外資系企業へと就職していった。みな優秀だったし、そしてまた美人だった。
「外資系は顔が重要」と言われていて、あながち嘘ではないと思った。面接官だって顔立ちが綺麗な人のほうが心が浮き立つものだろう。
女性のみならず男性も “顔基準” はあると聞いた。「イケメンか、ずば抜けて頭が良いフツメンしか採用しない」とか。
イケメンではないが外資に就職した男友達は「周りはイケメンでウェイウェイしている奴等しかいない。まじで浮く。つらい」とぼやいていた。
ウェイウェイのなかで一人ポツンと存在するのは、さぞかし辛かろう。よく同クラで集まっては酒を飲んで愚痴を聞いたものである。
しかし彼は相当に頭が良かった。就職してから5年以内に同期は全員リストラされたそうだが、彼だけはリストラされずに生き残っていた。いやはや、優秀だったのだろう。
東大女子たちの就職先
当時、まだ外資系企業に就職する人は少数派だった。
私の身近にいる東大女子が就職した先は、広告会社、総合商社、製薬会社、コンサル、大学(准教授)、家電メーカー、大学事務、弁護士事務所、監査法人などであった。
そのまま大手企業でバリバリ働いている人もいるし、海外の大学院で米国弁護士資格を得て活躍の場を広げている人もいる。
離婚を機に転職して地元に戻った人もいる。就職先が他企業に売却された人もいるし、勤務先での不倫に疲れて地元に戻った人もいる。
私は一応働いてはいるものの、大した仕事をしている訳でもなく、ただのオバサンとなった。
まだ30代前半だけれども、すでに人生イロイロだ。
人生イロイロになってくると、同窓会に顔を出すのが少し怖くなってくる。それは皆も同じなのか、最近めっきり同窓会が開かれなくなった。単に子持ちは夜に外出しづらいとか、地元からは参加できないとかの理由かもしれないが。
東大を出たあの子は幸せになったのか
本記事のタイトル「東大を出ても、ただのオバサン」は、今の私のことでもあるのだが、もともとは「東大を出たあの子は幸せになったのか」に出てくる桜蔭から東大に進学したエリート女性から生まれた言葉である。
東大を出たあの子は幸せになったのか~「頭のいい女子」のその後を追った
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桜蔭から東大に進学し、当然のように弁護士になるものだと思っていた女性。ところが、弁護士資格には何度挑戦しても受からない。人生初めての挫折。
それから予備校の契約社員を経て韓国人男性と結婚、離婚し、また別の男性と結婚。9年間で5人の子どもを授かる。44歳の今は博多のお弁当屋さんでパート勤め。
この女性、私が愛聴している「家について行っていいですか」にも出演していたし、高校時代にも「天才・たけしの元気が出るテレビ‼」にも出演されているそうである。目立つのは嫌じゃない、というか、好きなのかもしれない。
桜蔭、東大を出て、現在はお弁当屋さんのパート勤務というのは、なかなか珍しい。(旦那さんの扶養という訳でもない)
TV画面を通した彼女を見ると、“ただのオバサン” との形容は相応しくない気がした。それよりも、“ぶっ飛んでる人” の方がしっくりくるような・・・。
そういえば私も東大在学中は “ぶっ飛んでいる” とか揶揄されたけれども、今のところは “ただのオバサン” で済んでいるようだ。
東大女子の悩みは続く
毎日ストレスもなく平和に暮らしているのだけれども、ヒマな時間があると、ついつい「東大を出ても、ただのオバサン」というフレーズが頭に浮かんできてしまう。
もっと優秀でありたかったし、もっと人の役に立ちたかった。
そんな想いを抱えているところ、実母から「あなたの知り合いだった〇〇さん、東洋経済のスゴイ人100人に選ばれてTVに出てたわよ~!すごいわね~!」との話。
そうなのだ、かつて身近にいた人たちがスゴイ人へと変貌しているのだ。
ま、そういう人たちって、当時から「コイツは只者じゃねぇな!」と感じてた人たちなんだけど。
同じ環境にいる人だからと言って、スタートラインが一緒だと考えるのは勘違いなのである。元々の能力が違う。
そんなわけで、ただのオバサンは、日々の生活を楽しく過ごすことに注力しようと思うのであった。